親知らずについて
親知らずは必ず抜歯するものとお思いの方が多いですが、必ずしもその必要はありません。
本来、人間の歯は上下ともに16本あります。一般的に親知らずと言われる歯は、図のように前歯から8番目の一番奥にある歯が該当します。この親知らずは、全ての人が上下合わせて4本生えてくるわけではなく、上下左右の4本が揃わない場合が多く、4人に1人の割合でまったく生えてこない人もいます。
1番~7番の歯が上下綺麗に揃っている健康な歯があれば、親知らずは、生活をしていく上で特別必要な歯ではないことは事実です。一方で、親知らずがある方は、生えていない方よりもその分多くの歯を得ている事になります。その為、もしこの親知らずが正常に生えており、口腔環境に悪影響を及ぼしていないのであれば、無理に抜歯する必要は無く、場合によってはメリットもあります。

しかし、親知らずは歯列の一番奥で形成されるため、生えるスペースが狭い関係上、生える方向が悪いことが多く、骨の中に埋まっていたり、途中で萌出が止まってしまうことが多い歯で、下顎では、斜めになったり、真横に生えてたりする歯が多く、上顎では歯並びからはずれて外側を向いた歯が多いです。
例えば、レントゲン写真は、横向きに生えている親知らずです。
親知らずが横向きに生えていることによって、手前の歯と親知らずが密接している箇所が黒ずんでいるのを確認頂けると思います。この部分が虫歯になっています。
親知らずがあることによって、歯茎などが痛くなる、親知らずや手前の歯が虫歯になる、口臭がする、歯並びが悪くなる時などは、抜歯する方が良いケースです。

親知らずによって起こる
代表的なトラブル
虫歯を引き起こしやすなる

親知らずは最も奥くにある歯のため、たとえ真っ直ぐ生えていても歯ブラシによる清掃が不十分になりやすく、虫歯になりやすい歯です。さらに、斜めに生えていたり、真横に生えてたりすると手前の歯との間に食べかすが残りやすく、手前の歯も虫歯になりやすくなりす。
歯周炎を引き起こしやすなる

完全に生えずに中途半端な状態が長く続くために、親知らず周囲に食べかすなどが停滞することにより、周囲の歯肉を刺激し続け、炎症を起こし、歯肉が痛んだり、腫れたりする可能性があります。
一度、歯周炎を起こすと数カ月から半年ぐらいの周期で再発を繰り返すことが多くなります。ひどい炎症の場合は顔が腫れて膿がたまったり、骨髄炎などの重篤な症状を引き起こすこともありますので、注意が必要です。
歯並び悪化の可能性がある

水平埋伏の状態や斜めに生える歯では、萌出にともなって前の歯を押すことになるため、前歯の歯並びを乱すことがあります。
上記掲載のトラブル例は、あくまで、親知らずが引き起こすトラブルの一例です。
親知らずが完全に歯肉の中に埋まった状態でも起こりますので、生えていなくてもこれらの症状が起こる前に抜歯をしておいたほうがいいといえます。また、炎症が強い方は、早期の治療をお勧め致します。炎症が拡大して喉の方へ炎症が波及したり、また、口が開きにくくなったり(開口障害)、顔が腫れあがることもあります。